日経BPが「子育てしやすい自治体ランキング2025」を発表しています。
その結果を見ると・・・
1位は大村市(長崎県)、2位は明石市(兵庫県)、3位は流山市(千葉県)。
下記に記載の通り、このランキングで上位に入るには2つのポイントが必要です。
①住民が「子育てしやすい」と感じていること。
保育、医療、公園、交通安全、買い物、情報発信など、日常生活の実感が重要です。
②実際に子ども・若い世帯が増えていること。
「子育て世帯に選ばれている」という人口実績が評価されます。
日経BPによる評価基準の解説↓
「子育てのしやすさ」の評価は、子育てに関する「住民の評判」と、0~14歳人口(年少人口)の比率やその伸びを基にした「実績」の2つの軸から見ていった。
「住民の評判」は、働く世代2万1127人を対象に実施した「シティブランド・ランキング ―住みよい街2025―」の調査データを活用。
「実績」は、実際に人口に占める子供の多さと、子供の人口の伸びの勢いを評価軸とした。具体的には、①総人口に対する0~14歳人口の比率「年少人口比」と、②2020年~25年の5年間での「年少人口の伸び」(伸びの勢い)を実績として評価。
では、なぜこれらの自治体が上位にランクインしたのか、日経BPの記事をもとに、AIに分析させました。
これまで私の下で色々学習してきたAIだけあって、かなり的確な分析だと感じました。
1位 大村市(長崎県)
大村市は、単に子育て支援があるだけでなく、生活インフラ全体の評価が高いことが強みです。
大村市は「住民の評判」が全国1位、「年少人口比率」が8位、「年少人口の伸び」が21位で、総合1位になっています。特に評価が高かった項目は、病院・診療所の多さ、出産・育児・子育て支援、自治体からの情報発信、交通安全に配慮した道路、保育施設の充実・入りやすさ、買い物のしやすさ、公園の多さです。
ここから見えるのは、子育てしやすさは「補助金」だけではないということです。
大村市は、
医療が近い、保育に入りやすい、道路が安全、買い物しやすい、公園がある、行政情報が届く
という、子育て世帯の日常不安を総合的に減らしている自治体です。
大村市は市の総合計画「人を育むまち」で、政策1-1として「子育てしやすいまちづくり」を掲げ、結婚支援、親子の健康増進、子育て環境の充実、仕事との両立を柱にしています。
具体策としては、妊婦健診、乳児全戸訪問、病児・病後児保育、延長保育、保育士確保策、放課後児童クラブやOMURA未来塾などが並びます。その下位計画である「おおむら子ども・子育て支援プラン」も、地域の子育て力、経済的負担軽減、相談体制、子育てと仕事の両立を体系化しています。
2位 明石市(兵庫県)
明石市の強みは、政策のわかりやすさとインパクトです。
明石市は「Seven Free」として、所得制限なしで、高校卒業までのこども医療費無料、第2子以降の保育料無料、0歳児見守り訪問「おむつ定期便」、小学校給食無料、中学校給食無料、公共施設の子ども入場料無料などを打ち出しています。
明石市のすごさは、施策そのものに加えて、市民に伝わるブランド化ができている点です。
「子育てするなら明石」というメッセージが明確で、
経済的負担を下げる政策
見守り・相談につながる政策
中高生まで切れ目なく支える政策
がセットになっています。
これは子育て世帯にとって非常に強いです。
「この自治体は本気で子どもに投資している」と伝わるからです。
さらに、妊婦面談、産後ケア、訪問相談、新生児家庭訪問、ブックスタート、病児保育、ファミサポ、こども食堂など、経済支援と居場所支援を組み合わせています。
3位 流山市
流山市は、つくばエクスプレス開業後、「都心から一番近い森のまち」、「母になるなら、流山市。」を掲げ、共働き子育て世帯をメインターゲットにしたシティプロモーションを進めました。その結果、人口は約15.2万人から2025年1月時点で約21.3万人に増加し、年少人口比率も2024年10月時点で16.4%となっています。
さらに、認可保育所等の新設・定員増、駅前送迎保育ステーションなどに取り組み、2021年には待機児童ゼロを達成しています。
流山市の本質は、
「誰に選ばれるまちになるのか」を明確に決めたこと
です。
流山市は、共働き子育て世帯をターゲットにし、交通利便性、自然、保育、駅前機能、ブランド発信を一貫させました。これは桑名市にかなり近いモデルです。
- 参考資料:
- 「流山市はなぜ選ばれ続けるのか 共働き子育て世代が移住し、住民の93%が「住み続けたい」まち」 (ディスカヴァー携書、井崎義治 (著))
- 送迎保育ステーション事業の資料
- 流山市の子育て施策紹介
桑名が「子育てしやすい自治体」の上位に入るには?
桑名市も、名古屋圏へのアクセス、自然、ナガシマ・多度山・木曽三川、住宅地としてのポテンシャルがあります。(実際に、「住みよい街ランキング」では、中部圏では長久手(11位)に次いで、桑名(20位)がランクインしています)
にもかかわらず、「子育て世帯に選ばれるまち」という都市戦略に十分転換できていないことが課題です。
桑名市が本気で上位を狙うなら、子育て世帯の生活実感を改善する政策パッケージを作るべきです。
最優先は「共働き子育て世帯に選ばれるまち」と明確に掲げること
桑名市は、名古屋・四日市への通勤圏、自然、歴史、レジャー、住宅地としての魅力があります。だからこそ、流山市のように、ターゲットを明確にすべきです。
抽象的な「住みよいまち」ではなく、
“名古屋圏で、共働き子育て世帯が安心して住み続けられるまち”
という旗を立てるべきです。
次に、明石型の「わかりやすい子育て支援」を作ること
桑名市はすでに、0歳から高校生相当までの子ども医療費助成を所得制限なしで実施しています。これは強みです。
ただし、明石市のように「これが桑名の子育て支援です」と一言で伝わるパッケージにはなっていません。
例えば、桑名版としては、
少人数学級/地産地消の食育/小中学校給食費無償/駅前送迎保育ステーション/第2子以降保育料軽減・無償化/0歳児見守り訪問/病児保育・一時預かり拡充/学童の待機ゼロ・長時間化/児童館・公共施設・文化施設の子ども利用支援
などをまとめて打ち出すべきです。
さらに、通学安全・公園・歩道を重点投資すること
大村市の評価項目では「歩道など交通安全に配慮した道路」が全国3位、「公園が多い」が8位でした。
これは桑名市にとって非常に重要です。
子育て世帯は、経済負担を下げる政策だけでなく、通学路が安全か、公園が近いか、歩いて生活できるかを見ているからです。
学校を遠くに集約するより、
徒歩圏の安心感、歩道整備、見守り、放課後の居場所、公園の質
に投資する方が、子育てしやすさの評価には直結しやすいです。
今の学校再編計画は、子育てのしやすさにプラスかマイナスか
私の判断では、現在のままの「全市一律・施設一体型・義務教育学校・大規模集約」路線は、子育てしやすさにはマイナスに働く可能性が高いです。
もちろん、学校再編そのものがすべて悪いわけではありません。老朽化対策、新しい校舎、特別教室の充実、ICT環境、教職員連携、小中の接続改善などは、設計次第ではプラスになります。
しかし、子育て世帯の居住地選択という観点では、問題があります。
桑名市の計画は、将来的に多度学園を含め市内に7つの施設一体型小中一貫校を整備する想定です。 その中には、R7年度推計で2,323人、R15年度でも2,234人規模の学校区や、1,740人、2,147人規模の学校区も含まれています。
子育て世帯から見ると、これは次の不安につながります。
通学距離が長くなる。
小学生、特に低学年の通学負担と安全不安が増えます。
地域の小学校がなくなる。
徒歩圏の学校、地域の見守り、防災拠点、地域行事の核が失われます。
学校が近いことや地域で子どもを見守れることは大きな要素なので、ここが崩れると体感満足度は下がりやすいです。
学校が大規模化する。
一人ひとりに目が届くのか、不登校・いじめ・発達特性への支援が十分かという不安が出ます。
住民の納得感が下がる。
実際、桑名市の説明会アンケートでも、義務教育学校の一律導入、大規模校化、教育効果、安全性、教職員負担、地域性、子どもの発達段階への懸念が多く寄せられています。通学距離やスクールバス、安全な通学路、運転手確保への不安も整理されています。
これは、ランキング上の「住民の評判」に明確にマイナスです。計画に対する説明や合意形成が不十分だと、「子育て世代の声を聞かない街」という印象になり、ランキング面でも逆風になります。
桑名市が取るべき学校政策
桑名市が目指すべきは、
「学校を減らして財政効率を上げるまち」ではなく、
“学校・地域・通学安全・保育・学童・公園・医療を整え、子育て世帯から選ばれるまち”
です。
大村市は、生活インフラの総合力。
明石市は、わかりやすい子育て支援の本気度。
流山市は、共働き子育て世帯に選ばれる都市戦略。
桑名市が学ぶべきは、この3つです。
現在の学校再編計画は、老朽化対策としての必要性は理解できますが、全市一律・大規模集約・義務教育学校ありきで進める限り、「子育てしやすいまち」としての評価を高める政策にはなりにくいです。むしろ、通学安全、地域の安心感、学校への信頼、住民の評判を下げるリスクがあります。
桑名市が子育てしやすい自治体ランキング上位を本気で狙うなら、学校再編は次の方向に修正すべきです。
第一に、全市一律の義務教育学校化をやめること。
地域ごとに、小学校存続、小学校同士の統合、施設分離型小中一貫、小中一貫型小学校・中学校、義務教育学校を比較すべきです。
第二に、通学距離と学校規模に上限を設けること。
「巨大校でも新しいから良い」ではなく、子育て世帯が安心できる規模・距離を明示すべきです。
第三に、多度学園の検証を先に行うこと。
桑名市自身の計画でも、先に設置された義務教育学校の点検評価を行い、課題を次の個別計画に盛り込むPDCAを回すと書かれています。 であれば、検証前に全市一律の方向性を固定するのではなく、実際の成果・課題を見てから判断すべきです。
第四に、学校を“地域の子育て拠点”として再設計すること。
単に校舎を減らすのではなく、学校・学童・図書・公園・防災・地域活動を一体にした「子育て拠点」を各地域に残すべきです。