「義務教育学校」一択の理由

市民の不安や懸念の声にも関わらず、桑名市は「義務教育学校」一択で、方針を変えるつもりはない、としています。

では、何を根拠に「義務教育学校」一択としているのでしょうか?
全員協議会で配布された資料の中から、その根拠とされるものをご紹介します。

目次

1.小中一貫教育の開始前と後で、学力テストの点が向上?

・一貫教育前:小6の子が中3になった時に、算数/数学で0.5pt上昇、国語で1.3pt減少
・一貫教育後:小6の子が中3になった時に、算数/数学で2.5pt上昇、国語で1.3pt上昇
 ↓
・成果と言っても最大2.5pt。教育的な意味としては小さい(=せいぜい0.3問分の正答の違い)。
テストの事前対策で点数向上をさせる事が現場ではよくある(教育研究をしている大学教授らの話)
・一貫教育をした学校と、していない学校を同一条件で比較検証している訳ではない

※2015年の国会審議でも、文部官僚が「小中一貫校と普通の小・中学校の教育的効果やデメリットを同一条件で比較した調査研究はいまだない」と発言しています。

つまり、小中一貫教育の成果なのか、この時期の先生&子どもたちの頑張りの成果なのかが不明なのです。
(そもそも成果と言えるレベルなのか、という疑問もありますが)

さらに、桑名市が学校再編の議論以外で公表している他の資料を確認すると、

・中学校の理解以外、全国平均と大差なし
・学習状況についても、全国平均を下回る箇所が多々ある

つまり、学校再編の資料に掲載されているデータは、一部のスポット的なデータを「成果」として引用しているだけで、教育学的な根拠はないものと考えます。

2. 中1ギャップの緩和

「中1ギャップ」を緩和し、小学校から中学校へ滑らかな接続をするため
(「中1ギャップ」=小6から中1でいじめや不登校の数が急増するように見えることから使われ始めた用語)
 ↓
「中1ギャップ」は科学的根拠なし国立教育政策研究所が2014年に発表
義務教育学校では、小5ギャップなどが新たに発生(参照:「小中一貫教育の実証的検証」)

国立研究所の発表以降、多くの自治体では、「中1ギャップ」という用語自体使わなくなっています。

また、専門家による大規模な研究の結果、義務教育学校の場合は、5年生など別の年代で、いわゆる「ギャップ」が起きていることも分かっています。

3.不登校率の改善

令和2年 (2020年)から全中学校ブロックを対象に小中一貫教育を施設分離型で開始し、不登校率の改善が見られるようになった。
 ↓
・2011年から2023年の間に、桑名市内の不登校数は、小学校で約6倍、中学校で約3倍に増加しています。

この数字では、小中一貫教育によって不登校率が改善したようには全く思えません。

参照:
「不登校児童生徒の社会的自立を促す支援の在り方(桑名市・令和5年)」
・2022年、23年の数値は桑名市の新しい学校をつくる課への問い合わせをもとに

義務教育学校の裏側

では、なぜ「義務教育学校」一択なのか?
学校統廃合に関する権威の山本由美先生の著書からご紹介します。

・学校統廃合の手段として増加
・統合する学校が多いほど、施設費と人件費を削減できる
・統廃合で小学校区が消滅し、自治機能が破壊され、トップダウンの政策が通りやすくなる
・小学校を失った地域では、子育て世帯が流出し、過疎化が進行する

義務教育学校にする狙いとは?

桑名市は、学校再編にあたって「子どもの教育環境を最優先に考える」と主張していますが、前述の通り、それを裏付けるものが見つかりません。

一方で、公共施設削減のために、「義務教育学校」に固執しているのではないか、という懸念は強くあります。

・「公共施設等総合管理計画」でR46年までに、公共施設の33%を削減 
・学校再編計画はR45年が基準(公共施設の削減目標年と連動)
・桑名市の公共施設の約49%が学校
・義務教育学校なら、複数の学校を一度に削減できる

日本の最重要課題は「少子化」「人口減少」です。
人口が増えている沖縄などを除き、自治体単位で考えても、それは変わらないはずです。

だとすれば、36校もの小中学校を全て廃校にして、たった7つの大規模校に詰め込むのは、少子化対策として正しいのでしょうか?

この政策によって、子育て世帯が増えるでしょうか?
将来を担う子どもたちに、より良い教育環境を提供できるでしょうか?

そもそも「効率」を最優先にして「義務教育学校」を設立したものの、建設費の高騰やバスの維持費、跡地のコストなどで、ほとんど財政的なメリットがなく、課題だけが残ってしまった自治体も出てきています。

そして、こうした検証の結果、「今後は義務教育学校を新たに造らない」と方針を見直しているのです。

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