桑名でも学校敷地内での建替え工事は可能!先行事例のご紹介

目次

桑名市内の小中学校の改修・建替えは必要

ご存知のように、桑名市の学校の老朽化は非常に深刻です。これは市民の共通認識です。
諸外国に比べて圧倒的に衛生環境や衛生意識の高い日本において、桑名市の小中学校だけは取り残されています。

先日も築63年を超える精義小学校のプール清掃に参加してきましたが、プール内はへどろだらけ、シャワーや蛇口場は腐食が激しく、新任の先生が「えっ!こんなところに本当に入るんですか?」と驚くぐらいの悲惨さです。

また、南海トラフをはじめ、地震大国日本の実情や、小中学校が地域の避難所であることを踏まえると、学校の改修・建替えは、市の予算配分においても非常に優先順位が高い内容のはずです。

「子どもたちが学校に行きたくなるように、衛生的で安全な学校生活が送れるように、そして、地域の避難所としてもしっかり機能するように、一刻も早く改修や建て替えをして欲しい」
それは、子供や保護者、地域の方の大多数の意見だと思います。

とは言え、だからと言って、別の場所に義務教育校を造る、というのは、話が全く異なります。
桑名市教育委員会は、説明会資料において「学校敷地内での建替え工事は不可能」と記載していますが、本当に不可能なのでしょうか?

同一敷地内での建替えも可能

桑名市の資料によると、同一敷地内で建替えできない理由として
 1.工事期間中の運動場の使用ができない
 2.工事期間中の騒音・振動
 3.工事車両等の出入り
が挙げられています。

ですが、工事を段階的に行う、授業後に行う、車両の出入り場所を限定する、体育のみ別の場所で行う、などの工夫をすれば、どれも対応は可能なものばかりです。

実際、他の地域では下記のように同一敷地内での建替え工事を無事に行なっています。

神戸市立 垂水小学校(兵庫県)建替え

  • 段階的建設:既存校舎を使用しながら、新校舎を段階的に建設。まず西校舎を建設し、その後東校舎を解体して南校舎を建設。
  • 多機能設計:校庭のスペースを確保するため、体育館やプールを校舎の上層階に配置。
  • 安全対策:工事エリアと通学路を明確に分離し、児童の安全を確保。

目黒区立 向原小学校(東京都)建替え

  • 仮設校舎の活用:校庭に仮設校舎を設置し、既存校舎を解体後、新校舎を建設。
  • 工事時間の配慮:騒音や振動を伴う作業は、授業時間外に実施。
  • 工事車両の制限:通学時間帯の工事車両の出入りを制限し、安全性を確保。

四国中央市立 三島南中学校(愛媛県)建替え

  • 仮設校舎なしの建て替え:仮設校舎を建てることなく、同一敷地内での建て替えを実施。
  • 環境配慮:自然通風、雨水の中水利用、地中熱を利用した換気システムを採用し、エコスクールとして整備。

練馬区 富士見中学高等学校(東京都)建替え

段階的建設:授業をしながら3期6年にわたる校舎建替え(創立80周年)
仮設校舎なしの建替え:仮設校舎を建てずにコストミニマムで実施。
早期の教育環境改善:1期工事で全ての普通教室の耐震化を実現。

立川市立 第一小学校(東京都)建替え

  • 仮設校舎の活用:校庭に仮設校舎を設置し、建替えを実施。仮設校舎西側に簡易の遊び場を用意。
  • 近隣の学校活用:体育館や校庭は第一中学校の協力を仰ぎ、式典や運動会を開催。
  • 複合施設化:住宅地の中でコンパクトな敷地を活用し、公民館、図書館分館、学童保育を併設した複合施設として建て替え。

立川市立 第九小学校(東京都)大規模改修

  • 仮設校舎の活用:校庭に仮設校舎を設置し、大規模改修工事を実施。基礎は残してスケルトンにした状態からの改修。仮設校舎前面に小さな校庭を確保。仮設校舎の教室面積は59平米で本校舎の64平米と比べると少し小さい程度。
  • 工事車両の制限:登校時間帯は工事車両を通行止めに。下校時は交通誘導員を配置。
  • 近隣の学校活用:体育の授業は主に大山小学校で実施。移動時間がかかるため、2時間単位の授業とし、年間授業時間を調整する。運動会前の練習は御影橋公園を使用。

海外の学校建替え事例

オコスタ小学校(米国ワシントン州)

  • 背景:津波リスクの高い地域に位置するため、避難施設を兼ねた新校舎を建設。
  • 工夫点:
    • 校舎の上に避難用の高台を設置。
    • 既存校舎を使用しながら、新校舎を段階的に建設。
    • 児童の安全を確保しつつ、教育活動を継続。

ターンブル高校(スコットランド)

  • 背景:老朽化した校舎の建て替えを同一敷地内で実施。
  • 工夫点:
    • 既存校舎の一部を使用しながら、新校舎を建設。
    • 段階的な建設により、教育活動への影響を最小限に。
    • 工事エリアと通学エリアを明確に分離し、安全性を確保。

プルードー・コミュニティ高校(イングランド)

  • 背景:老朽化した校舎の建て替えを同一敷地内で実施。
  • 工夫点:
    • 既存校舎を段階的に解体し、新校舎を建設。
    • 工事期間中も教育活動を継続。
    • 工事エリアと通学エリアを明確に分離し、安全性を確保。

建替え時の課題解決に向けたTIPS

  • 段階的建設の採用:既存校舎を使用しながら、新校舎を段階的に建設することで、教育活動を継続しつつ、安全性を確保できます。
  • 仮設校舎の設置:校庭や近隣の空き地に仮設校舎を設置することで、児童の学習環境を維持しながら建て替えが可能です。
  • 工事時間の調整:騒音や振動を伴う作業は、授業時間外や休日に実施することで、教育活動への影響を最小限に抑えられます。
  • 工事車両の動線管理:工事車両の出入り時間を通学時間帯と重ならないように調整し、児童の安全を確保します。
  • 近隣の学校/公園活用:近隣の公立小中学校の校庭や体育館、公園を活用することで、体育の授業や運動会、地域のクラブ活動などを継続することができます。
  • 地域との連携:保護者や地域住民との定期的な情報共有を行い、理解と協力を得ることで、スムーズな建て替えが可能となります。

このように、桑名市の学校再編計画においても、子供たちの安全と教育環境を最優先に考慮しつつ、同一敷地内でも建て替えを検討することが可能です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次