政策の根拠として提示される、アンケートや統計情報を鵜呑みにするのはとても危険です。
例えばアンケートの場合は、
・対象が誰なのか
・母数がどれぐらいか
・アンケート前にどんな情報を提供されたか
・どんな質問のされ方をしたか
によって回答が大きく変わってくるからです。
さらに、その回答をもとに、
自分たちの都合の良いように切り取り、着色して市民に提示するからです。
(結果の数字は変えていない、と仮定しても)
事実、今回の再編計画の資料でも、こうしたやり方が見られます。
学校再編の必要性(P.17)

アンケート結果から、多くの市民が学校再編を容認・推進しているような印象を与える部分があります。
ですが、結果をよく見ると
・積極的に学校再編すべき:9%〜のみ
・現行の学校配置の維持が本当は望ましい:〜86%
・(小学校/中学校同士の)統廃合はやむを得ない:60%〜
であることがわかります。
なぜ、(小学校/中学校同士の)を追記しているかというと、一般的な認識では学校再編=小学校同士/中学校同士の統廃合だからです。
そして、質問文には、再編の中身として小中一貫校にする(小学校と中学校を1つにする)という記述が、意図的に無かったことが予想されるからです。
適正な学校規模

再編計画では、1,000人〜2,000人規模の学校を5校も新設する予定です。
ですが、保護者や教員の声としては、
・今の児童・生徒数は適正、もしくは多いと思う:〜71%
です。
小学生の保護者や教員においては、少ない/どちらかと言えば少ないと思うが3〜4割程度になっていますが、「地域や学校の規模により回答に差が見られる」と資料に記載されている通り、地域差が大きいのが実態です。
このアンケート結果から読み取れる事実は、
「児童数が少ない」「小学校」の保護者や教員は、統合も止むを得ないと感じている、です。
桑名市全域の小中学校の保護者や教員がそう思っている訳ではありませんし、特に中学校ではそう思っている人の割合は3割未満です。
適正な学級数

再編計画では、児童・生徒数÷9学年で割った場合に、1学年7クラス以上となる学校が出てきます。
ですが、保護者や教員、児童・生徒の声としては、
・今の学級数は適正、もしくは多いと思う:〜62%
です。
小学校の教員以外は、すべての層で、適正もしくは多いと思う、の回答が多くなっています。
適正な通学距離
再編計画では、最長3km(子どもの足で約45分)以上のエリアが多数、深谷小では最長7.5kmも存在します。
ですが、市民や保護者、教員の声としては、
・小学生の通学距離は、2km(約30分)が許容範囲:〜86%
です。
通学距離が伸びるほど、交通事故や熱中症、線状降水帯や台風、地震、不審者や性犯罪者などにる被害のリスクが高まるのは言うまでもありません。
ちなみに、資料を見る限り、各小学校区の3km超えの最長通学距離は下記です。
・光風小中一貫校区:修徳小3.6km、深谷小7.5km、大和小4.5km
・陽和小中一貫校区:城南小3.6km
・正和小中一貫校区:桑部小4.2km、在良小3.8km、七和小4.1km、久米小3.6km
(陵成、光陵、長島は、市の資料に具体的な距離の記載がなかった為、省略)
財政を理由にスクールバスの適用エリアは最小限にすることが予想されますので、
保育園・幼稚園を出たばかりの子どもたちが、こうした長い距離を一人で歩いて帰らなければならなくなります。
少子化の時代に、国の宝である子どもたちが、痛ましい事故や事件に遭わないよう、心から願うばかりです。
参照:
「桑名市立小中学校再編計画(原案)について」
「桑名市立小中学校に関するアンケート調査結果報告書(令和4年実施)」
「学校再編(案)検討 資料編」