令和の少子化時代に「マンモス校」を造る理由

令和の少子化時代に、なぜ大規模なマンモス校を新たに造るのか?
桑名市の学校再編計画案に記載された内容をもとに、ご紹介します。

目次

文科省が警告する、1,000人超えの過大規模校

桑名市の計画では、1,000人超えの過大規模校が4校でき、そのうち光風中学校地区は2,200人規模のマンモス校です。
文科省は、1,000人超えの過大規模校は、弊害が出やすいため速やかに解消するよう、警告しています。

ですが桑名市の教育長は市議会の答弁で
「他の自治体で1,000人超えでもうまく回している学校があるので、文科省の基準を逸脱しても問題ない」

という趣旨の発言をしています。加藤眞毅 教育長に現場経験はありませんが。

昭和に逆戻り

(画像出典:吹上小学校同窓会Blog

元校長先生のお話
「昭和のベビーブームの頃は、2,000人規模の小中学校がこの辺でもあった。でも、一人ひとりの子どもを丁寧に見るなんてことは、人数が多すぎてできない。」

和歌山県の吹上小学校の児童数の推移:
明治6年 312人、大正3年 695人、昭和3年 1,396人、昭和18年 1,785人、平成24年 272人、令和6年 274人

1. R45年時点で、2〜3学級を保つため?

市の主張:R45年の児童生徒数の推計時点で、標準規模(1学年2〜3学級)を維持するため。
 ↓
約40年後の推計で、なおかつ小学校ごとの子供の数という、最も不確実性が高い部類の推計を根拠にしています。そもそもこれほど不確実性が高い推計を、こうした大規模な計画に採用すること自体、不適切だと考えます。

事実、国立社会保障・人口問題研究所の分析によると、市区町村の将来人口推計は、推計期間が長くなるほど誤差が大きくなり、特に人口規模が小さい地域や年少人口では、20〜25年先で誤差が数十%に達することが報告されています。

2.「1学年2〜3学級」を望む市民の声が多かったため?

市の主張:市民アンケートで「1学年2〜3学級」の回答が多かったから
 ↓

同じアンケート結果を見ると
保護者と子供の過半数が「今の学級数が適正/多い」と回答しています。

また、桑名市の計画では、R45年の時に2〜3学級を維持するために、学校再編が早く進めば進むほど、2〜3学級どころではなくなり、最大7学級の学校が誕生します。

3.小規模校では、「生きる力」が育ちにくいため?

市の主張:小規模校では、同世代との多様な交流が困難となり、表現力・思考力・判断力等の「生きる力」が育ちにくい
 ↓
小規模校では「生きる力が育たない」「社会性が育たない」「切磋琢磨できない」などの「俗説」は、専門家によると、そもそも教育学的な裏付けがありません。(学校再編の権威、山本由美先生)

逆に、教育学や人類学の知見によると

15〜20人の少人数学級の方が教育効果が高い
(特に低学年年代。学力だけでなく、授業への主体的な関与、行動面で。) [Tennessee STAR]

表現力/思考力/判断力を鍛えるには、「4人前後」のグループが効果的
(発言機会の最大化と責任感を持てる、人数が多いと手抜きをする) [Peer Learning]

安心/安定した社会関係を保てるのは、「150人程度」の集団
(顔見知り、関係を追える共同体の限界)[ダンバー数]

2100人を超える学校は、「著しく学習成果が下がる」
[Lee & Smith]

4.小規模校では、教員の負担が大きいため?

市の主張:小規模校では教員の負担が大きい
 ↓
教員の負担が大きいのは、予算不足のせいで教員が足りないからです。
小中一貫教育を導入したことで、教員の負担がさらに大きくなっていることも課題になっています。

小学校と中学校が同じ施設になる義務教育学校になっても、教員の負担は減りません現場の声より)。
義務教育学校になると、教員数が減らされ、会議や特別教室/行事の調整などの雑務が増えるからです。

効率優先の学校の未来

(画像出典:LaborNotes、2013年12月)

日本の公教育は、政治主導の「教育改革」によって、崩壊しているアメリカの公教育を後追いしている状況です。

アメリカでは、学校から本物の先生がどんどんいなくなり、子どもたちの教育環境が、企業の利益のために失われている状況が社会問題になっています。

写真は、最大150人の子どもたちがPCで学習する、アメリカの公設民営学校の様子です。先生ではなく、アルバイトが時給$15で子どもたちを監督しています。(参照:「新自由主義と公教育の危機 教育研究者・鈴木大裕」長周新聞)

鈴木さんによると、経済的に貧しい地域では、こうした大人数の効率優先教育が進められ、逆に裕福な地域では、少人数学級で全人的な教育が行われ、教育格差が広がっているそうです。

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